2010/05/26

筑波大連携キックオフ

午前中はCMRCのグループリーダー会議。午後は筑波大でKEKとの連携の「キックオフシンポジウム」があった。これは今年、筑波大とKEKが研究と教育で連携して行うと言う協定を結んだので、そのスタートのセレモニー的なものとしての開催だった。初めに筑波大の学長とKEKの機構長が挨拶し、その後連携の核となる人が10人ほど話をした。私は例によってJ-PARCの中性子実験装置の現状について話したのだが、その他の講演の中で一番面白かったのはBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)の話。ホウ素10を癌細胞に吸収させて、そこに中性子を当てると核崩壊によってアルファ線等が発生し、これが癌細胞を壊すと言う治療法で、脳腫瘍の治療などに絶大な効果を発揮する(しかも副作用が少ない)のだそうだ。ただ問題は、照射するための中性子源が国内には2ヶ所しかなく、しかもどちらも原子炉なので自由に運転が出来ないこと。病院などで治療を行う(特に保険適用にする)ためには、小型加速器による中性子の発生が必須なのだそうだ。我々がやっているような中性子散乱も世の中の役に立つと思っているのだが、BNCTは直接人の命を救うと言う意味で遥かに重要な事なのかも、と言う認識を持った。

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